サブドメイン・サブディレクトリのSEO観点でのメリット・デメリット

既存Webサイトに関連する新規サイトを立ち上げる場合、サブドメインとサブディレクトリのどちらに作成するかは論点になります。

1サイト1ドメインの原則の元に、新規ドメインで作成するものと思われがちですが、SEO上のメリットからサブドメイン・サブディレクトリでサイトを複数展開するケースが増加しました。

サブドメイン・サブディレクトリそれぞれのメリット・デメリットを概説します。

前提:サブドメイン・サブディレクトリとは

サブドメインとはドメインをさらに区分けしたドメインのことです。例えば「sample.com」がドメインだとすると、「sub.sample.com」がサブドメインとなります。

それに対してサブディレクトリは、あるディレクトリの下層に作成されたディレクトリです。例えば「sample.com」配下のabcディレクトリ「sample.com/abc/」は「sample.com」のサブディレクトリということになります。

なぜサブドメイン・サブディレクトリでサイトを運営するのか?

サブドメインやサブディレクトリでサイトを展開する理由は主に以下の2点が挙げられます。

  • 既存ドメインの評価を引き継げる
  • Google Adsenseなど、ドメイン単位でのメリットの享受

①既存ドメインの評価を引き継げる

1点目はドメインの評価を引き継げるという点です。

Google等の検索エンジンは、検索キーワードに対しページの順位を決定するにあたり、コンテンツ量や価値のある被リンクなど様々な項目からドメイン単位での評価を行い利用します。

ドメインの評価は重要度が高く、KWに対し同じクオリティのコンテンツが2つあった場合、ドメイン評価が高い方が検索上位に来ると考えて便宜上問題ありません。

また、医療関係など専門性・信頼性・権威性が重要なジャンルでは、そもそも一定のドメイン評価がないと上位表示はされないアルゴリズムに現在なっており、SEOを考えていく上で欠かせない点です。

この評価を得ることは難しい上に非常に時間がかかります。コンテンツ量、リンク量、サイテーション(Web上で自サイトやサービスが言及された回数)といったドメイン評価に関わる変数を積み上げるには数年単位で時間がかかります。

新規ドメインで得ていくのは難しい一方、既に評価の高いドメインのサブドメインやサブディレクトリにあるサイトは既存ドメインの評価を受け継げる傾向にあります。

その結果、評価の高いドメインのサブドメインやサブディレクトリで新しいサイトを運営することで、新規ドメインの評価を上げていくフェーズを飛ばして検索順位を獲得していました。

例えると、東京都内(ドメイン)の都市(サブドメイン)であれば、無条件に20点のボーナスを与えるといったものです。

本来であれば0点からスタートしなければいけないところをはじめから点数を持った状態で挑めるため、かなり有用なSEOテクニックでした。

②Google Adsenseなど、ドメイン単位でのメリットの享受

2点目は運用上でのメリットとなります。

  • Google Adsense
  • アフィリエイト案件の特単(通常よりも単価や承認率が好条件になること)

などは、サイト(ドメイン)単位で承認が行われます。

通常、新規ドメインでこれらを得るには、コンテンツ量を増やした上で、GoogleやASPの審査を受ける必要があります。

しかし、既存ドメインのサブドメイン・サブディレクトリで行えば、こうした条件を引き継ぐことが可能です。

マネタイズにおいて好条件を得ることは重要なので、有効な打ち手となります。

2020年、コアアップデートによりサブドメインの価値は大きく変わった

有利な側面が多いサブドメインですが、2020年にやや事情が変わりました。

Googleの検索アルゴリズムは、毎年数回大規模なアップデートが実施されます。

このコアアップデートによりランキング決定の指標の重み付けや精度が大きく変わり、検索上位に表示されるサイトも大きく変動します。

そんなコアアップデートですが、2020年12月に実施されたコアアップデートにより、サブドメインの評価が大幅に見直されることになりました。

具体的には、元ドメインからサブドメインに引き継がれるドメイン評価の比重が弱くなった、という点です。

元ドメインが多くのコンテンツや被リンクを持ち、サブドメインの保有量は少ない場合、サブドメインの評価は下がった傾向です。

これはより正当な評価がされるようになったとも言えます。

Googleはより専門性・信頼性・権威性(EATと言います)を重視したアルゴリズムにしていくことを希求しています。

元ドメインが強く、サブドメイン自体は弱いサイトでも今までは上位表示できてしまっており、それはGoogleの求めるものではないので、より正確な評価のために調整していると言えるでしょう。

評価に見合わないサイトはアクセスが大幅に減少

実際に2020年12月のサブドメインの評価が変わったコアアップデート以降、検索順位低下によって総アクセスの50%以上を数週間で失ったサイトもあります。

逆に、これまで評価がかさ増しされていたサイトが順位を大きく落としたことにより、検索順位が停滞していたサブドメインのサイトが上位に来ているケースがあります。

全体的にサブドメインの評価が下がった事実に変わりはありませんが、サブドメインだからペナルティを受けたというわけではありません。

あくまで元ドメインではなく、そのサブドメイン自体が評価を得ているかという、実力値が見られるようになった変更だと言えます。

サブディレクトリはまだ評価得ている傾向

この記事の執筆時点(2021年3月上旬)では、上記のような下落傾向はサブディレクトリにはまだ波及していない傾向です。ドメイン自体が強ければ、弱いサブディレクトリでも上位表示が比較的できています。

しかし、これもGoogleが意図している状態ではないので、どこかのタイミングで調整が入る可能性は高いでしょう。

大事なことは、ドメイン評価に依存せず、コンテンツ自体の質を上げ、信頼できるサイト・コンテンツとしてリンクや評判を獲得していくことです。

サブドメイン・サブディレクトリどちらが良いか

上記の前提で、サブドメイン・サブディレクトリそれぞれを選ぶと良い場合を例示します。

なお、これはSEO観点だけで決められるものではありません。

サイトの作りや、保守管理、ブランディング観点などを踏まえて総合的に考える必要があります。

サブドメインが良いケース

展開する複数のサイトそれぞれに関連性がない場合は、サブドメインで運営するサイトとして独立させた方がいいでしょう。

サブディレクトリで運営しているサイトは、ドメイン直下のサイトと同じサイトだと判断されやすいですが、これにはコンテンツの関連性が重要です。

例えば、「sample.com」ではブログテクニックに関するブログを運営していたとしましょう。その後「sample.com/game」にゲーム情報ブログを展開しました。

この2サイトに関連性はありません。

それぞれのサイトが何かしらのジャンルに特化したサイトであっても、検索アルゴリズムからそのように判断できなければ、ジャンル特化のメリットが薄れてSEO評価が高まりにくくなります。

ですので雑多ブログのような形にする予定がない限り、関連性がないサイトを運営する場合はサブドメインで、もっというと全く別のドメインで運営する方がいいでしょう。

サブディレクトリが良いケース

ドメイン直下のサイトと関連性のある、もしくは関連性を持たせられるサイトを展開する場合はサブディレクトリの方がいいでしょう。

例えば、「仕事」というジャンルでサイトを運営していたとします。そこに新しく「ガジェット」というジャンルのサイトをサブディレクトリで運営し始めました。

一見すると「仕事」と「ガジェット」には関連性がないように見えるかもしれません。

ですが、ガジェットジャンルのサイトで仕事に役立つガジェット・道具の紹介などを行ったらどうでしょうか。

それぞれのジャンルは異なるものの、お互いに関連性を持たせられるコンテンツを展開できます。

こういうケースであれば、サブディレクトリを活用してお互いのサイトに不足している要素を強化して、SEO施策を進めていくべきでしょう。

総括:サブドメイン・サブディレクトリを正しく利用すること

周りがやっているからという理由だけで、サブドメインやサブディレクトリを使うべきではありません。

なぜサブドメイン・サブディレクトリを使っているのかという本質を理解しないままだと、運良くサイトが順調に成長したとしても、なぜ成功したのか具体的に分析できず、次に活かしづらくなります。

サブドメインがいいときがあれば、サブディレクトリが良いケースもあります。

ドメイン変更はデメリットが大きいものです。後からの変更は難しいので、サイトを展開するドメインの決定には慎重になるようにしてください。

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編集部
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