Passage Indexingの現時点での発表概要と対応策案
この記事では、2021年に実装予定としてGoogleが発表しているPassage Indexingについて解説します。
ランキング要素としては久々の大きめの変更となるであろうPassage Indexingについて、対応方針を決めかねているSEO担当の方も多いのではないでしょうか。
現時点で発表されている内容の整理と、対応方針の案を示します。
実装前かつ仕様も確定していないため、執筆時点(2020/1/4)での内容になります。今後の発表により前提から大きく変わる可能性もあります。
予測と対応方針部分は私見になります。
Passage Indexingとは
Passage Indexingとは、検索クエリとページの一部分の関係性を元にランキング付けを行うようにする、新たな検索システムを指します。
現在は検索クエリに対して、各ページはページ全体との関連性に基づき評価され、ランキング付けされています。
Passage Indexingではページ全体ではなく、一部分のみとの関連性を判断しランキング付けを行うのです。
例
例として、恵比寿駅近辺への引越しを検討しているユーザーが「恵比寿駅 住みやすさ」と検索したとしましょう。
下記2サイトがコンテンツを用意していたとします。
- サイトA:山手線の全ての駅それぞれの住みやすさページを別URLで保持。「恵比寿駅の住みやすさ」ページも存在
- サイトB:山手線全ての駅の住みやすさ情報を1ページでまとめて紹介
現状ではページとクエリの関連性が重視されるため、「恵比寿駅 住みやすさ」クエリではサイトAの方が評価されやすい傾向です。
Passage Indexing導入後は、一部分であっても評価されるため、仮にサイトBの恵比寿駅に関する情報量がサイトAよりも豊富であれば、サイトBでも評価されるようになります。
このような、ランキングシステムの変更がPassage Indexingです。
参考▼
影響と実装予定時期
Passage Indexingの導入により、検索結果全体の7%に影響が出ると言われています。
また、元々2020年11月に米国で実装予定でしたが、延期されています。
2020年12月のコアアルゴリズムアップデートのタイミングでは実装されていないことも明言されました。
著名なSEM関連情報サイトであるSearch Engine Roundtableによれば、2021年1月には実装されると予想されています。
公式からは具体的な時期の発表はまだありません。
参考▼
Google Says Passage Indexing Has Not Rolled Out Yet
Google confirms passage indexing is not yet live
Passage Indexing導入で起こるであろうこと
ここまでの発表内容を踏まえ、予想をしていきます。
繰り返しですが、ここからは公式見解ではない筆者の私見となります。
より情報量が多いページの検索流入が増える
上記の通り、Passage Indexing導入後はページ内の一部分のコンテンツであっても、KWとの関連性を評価されるようになります。
そのため、今までは内容量あるものの様々な情報に触れているがために順位が上がりにくかったページでも、コンテンツの質・量が十分であれば評価されるようになります。
今までのSEOの原則でもあった、「1KW1ページの対応関係を重視する」が崩れる可能性があると言えます。
ロングテールで獲得できていた末端ページの流入が減る
1点目の裏返しですが、ロングテールKWを獲得できていた末端ページの流入が減ることが予想されます。
メディア型であれば末端の記事ページ、データベース型であれば詳細ページですね。
末端各ページのコンテンツ量は個々では少ない場合が多いため、今まではロングテールの具体的な検索ニーズを拾えていたとしても、今後は上層のよりコンテンツ量の多いページに勝つことが難しくなると思われます。
重厚長大なページを多く持ち、体力のある大規模サイトがさらに上がりやすくなる
ここ1,2年のコアアルゴリズムアップデートでは、信頼性や権威性などといったE-A-Tが重視される結果、大手サイトや有名企業のサイトが上がりやすく、個人や中小には苦しい傾向が続いています。
その傾向は、より広い範囲のコンテンツ量が求められる傾向にある、検索ボリュームの大きいKWで顕著でした。
Passage Indexingが導入されると、今までは小規模サイトが獲得できていたロングテールKWでも同様にコンテンツ量の幅広さが必要になります。
ピンポイントで狭いニーズに応えるページを作っても、それも含めて多様な観点を網羅している重厚長大なページに負けてしまうことになります。
そのため、こうしたコンテンツを継続的に作成する体力のある大手の勝ち傾向がさらに加速するでしょう。
Passage Indexingへの対応方針
以上を踏まえて、現時点での対応方針案を示します。
注意するべき点として、「具体的な仕様・影響が発表されるまで動かない」が大事です。
まだ確定していない以上、先んじて対応しても的外れや無駄になる恐れがあるためです。
あくまで、現状の方針案として意識し、必要に応じてエンジニアや社内と先に認識を揃えておくなどの用途でご確認ください。
似た検索意図のページはまとめる ※特にSEO上の理由で分けていた場合
Passage Indexingが導入されると、同じ検索意図に応えるページを分けて持つ意味は薄くなります。
管理上の観点からも、1ページにまとめた方が効果的になる場合が多くあります。
例
例として、データベース型のサイトでは一時期
- ①エリアトップページ
- ②エリアの一覧ページ
を分けて作成することが流行りました。
結婚式場ポータルの場合
- ①エリアトップページのコンテンツ
- そのエリアの結婚式場の件数
- そのエリアの結婚式場の統計情報
- そのエリアで結婚式を上げたユーザーの統計情報
- エリア一覧へのリンク
- ②エリアの一覧ページのコンテンツ
- 配下の各結婚式場詳細へのリンク
といった構造です。
どちらも「エリア名×結婚式場」に対応しているページです。
こういったページはかつては分ける意味がある場合もありましたが、Passage Indexing導入後はまとめてしまう方が良いです。
※上位でこの2ページで2面取りできている場合など、他に考慮すべき点はあります。
ページを分けるかの判断はユーザーエクスペリエンス観点も大事にする
それでもページを分けるかどうかは、UX観点で決めると良いでしょう。
例として、まとめることであまりにもページが長くなったり、検索性が下がったりして離脱率向上やCVR低下が見込まれる場合、統合は得策ではありません。
サイト内行動も重要な指標になっていく以上、UXを損ねる改修には敏感になるべきです。
コンテンツ量が長くなりがちなので、スピードとの兼ね合いを大事にする
同様にUX観点で、ページスピードを保つ施策も重要です。
コンテンツが長くなれば、ページスピードも落ちる傾向にあります。
今年5月にはCore Web Vitalsの導入も控えていますし、スピードを損ねないよう並行して検討しましょう。
総括:まだ情報収集を
何度も繰り返しになりますが、今回紹介した予測と対応方針はあくまで現時点の発表に基づくものです。
誤った情報に基づく施策を推進することは、社内での信頼を損ねたり、貴重な開発工数の浪費に繋がります。
引き続き公式の情報発信を注視しましょう。
著者プロフィール
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メメント株式会社代表。
SEO経験6年を超える。支援側、事業側の双方でポータル、メディア、BtoBなど様々なサイトの担当経験あり。
Webマーケ戦略設計、SEO、コンテンツマーケティング、Webアナリティクス、サイト改善を強みとする。
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