期限と必要な獲得量からマーケティング施策は選定しよう

新規事業を立ち上げる、あるいは既存事業の集客をより伸ばしたいとなった際に、サイトのリニューアル、SEOコンテンツの制作、LP制作、広告配信などをご相談いただくことがあります。

もちろん、これらは意味のある施策です。ただ、目標やスケジュールによっては、別の打ち手を優先した方がよいこともあります。

今回は、問い合わせや契約などを増やす「獲得施策」に絞って、期限と必要な獲得量から施策を選ぶ考え方を整理します。

目次

チャネルによって、成果が出るまでの時間と獲得量が違う

獲得施策を比較する際には、主に以下の観点があります。

  • 成果が出るまでの時間
  • 獲得できる件数と、規模を広げる余地
  • 初期費用と継続費用
  • 獲得量を増やす際の増分コスト
  • 実行に必要な人的リソース

例えば、SEOコンテンツは、新しく整備する場合には成果まで時間がかかります。一方、検索流入を得られる資産が育てば、流入・CVと広告費は連動せず、継続的な獲得につなげられます。

広告は比較的早く成果は出始めますが、採算を合わせるための検証が必要です。また予算を増やすことで獲得量を伸ばせる一方、同じCPAは増やし続けられず、増分CPAは悪化していきます。

紹介や過去商談の掘り起こしは、関係性のある相手に働きかけられるため、短期間で成果につながる場合があります。ただし、対象となる接点の数には限りがあります。

施策立ち上がり・成果の特徴獲得量を増やす際の制約
SEOコンテンツの新規整備成果まで時間がかかる。育った資産から継続的な獲得を狙える検索需要、競争環境、制作・改善体制
広告比較的早く配信できる。採算を合わせる検証は必要予算、対象顧客の規模、配信拡大時の増分CPA
紹介・過去商談の掘り起こし関係やニーズがある相手なら、早く成果につながる場合がある接点数、関係性、提案できる内容
提携相手の顧客接点を活用できる提携先の開拓・合意に必要な時間、連携体制

※大枠での整理です。自社の資産や状況によって変わります。

時間はかかるが、継続的に獲得できるもの。早く成果を狙えるが、件数には限界があるもの。量を増やせるが、追加費用も必要なもの。こうした違いを踏まえて、施策を組み合わせる必要があります。

自社がすでに持っている資産を確認する

同じチャネルでも、企業によって出発点が違ってきます。

検索流入のあるサイトを持っていれば、既存ページや問い合わせ導線の改善から取り組めます。サイトやコンテンツをゼロから作る場合とは、必要な時間も費用も変わります。

紹介や掘り起こしも、顧客数だけでは判断できません。関係性や過去の商談状況、履歴の整理状況まで確認します。

資産・接点確認したい内容
サイト・コンテンツ流入のあるページ、問い合わせ導線、改善余地
広告実績・計測環境過去のCPAや獲得数、検証済みの訴求、計測できる範囲
既存顧客顧客数、関係性、紹介や追加提案の余地
過去商談・問い合わせ接点数、見送り理由、再提案の可能性
協業先顧客層の重なり、紹介や共同提案ができる関係

顧客や商談リストがあることと、そこから獲得できることは別です。 以前の見送り理由が変わっているか、今なら提案できる内容があるかまで確認したいところです。

「いつまでに、何を、どれだけ」を揃える

施策を選ぶ前に、目標を具体化します。

  • いつまでに必要なのか:今月、今期、1年後など
  • 何を増やすのか:問い合わせ、商談、契約、売上など
  • どれだけ増やすのか:期間内の合計件数、毎月の件数など

例えば、現在20社の顧客を持つBtoBサービスで、今期残り3か月で契約企業を3社増やしたいとします。

既存顧客との関係がよく、また過去商談履歴も残っているなら、紹介や掘り起こしから取り組む方が早いかもしれません。新たな集客基盤を作る前に、既存接点で必要な件数に届くかを確認できます。

一方、目標が契約企業数ではなく売上増加なら、既存顧客へのアップセルも選択肢になります。

目標の例検討したい方向
今期中に契約企業を3社増やす紹介・過去商談など、短期で提案できる接点を確認する
今期中に売上を増やす新規獲得に加え、既存顧客への追加提案も検討する
1年後に毎月20社を獲得する既存接点だけで足りるかを見極め、継続的な獲得基盤を育てる

必要な契約数から、商談数も逆算します。仮に有効商談からの受注率が25%なら、契約3件には単純計算で12件の商談が必要です。

紹介や掘り起こしで、その商談数を作れるか。足りない場合は、別のチャネルを組み合わせます。施策を選ぶだけでなく、必要な量に届くかまで確認することが重要です。

問い合わせから契約までのリードタイムも考慮する

期限を考える際には、施策の準備期間に加え、問い合わせや商談から契約までのリードタイムも含めます。

例えば、目標まで残り3ヶ月で、商談から契約まで通常2ヶ月かかるなら、商談は早い段階で作る必要があります。そこから3ヶ月かけて集客基盤を整備していては、その計画には間に合いません。

逆に、時間をかけて大きな獲得量を作る局面で、既存接点への個別アプローチだけを続けても、必要量に届かないことがあります。

施策選択のずれ起こり得ること
短期で成果が必要なのに、立ち上がりに時間のかかる施策を選ぶ成果が出る前に期限を迎える
大きな獲得量が必要なのに、接点数に限界のある施策だけを続ける個別には成果が出ても、合計件数が足りない

どちらも施策自体に意味はあります。ただ、必要な期間と獲得量に合っていないため、計画を達成できません。

有限な予算と人手を、どこに配分するか

予算と人的リソースは有限です。 選んだ施策すべてに十分なリソースを使えるわけではないので、どこを優先し、どこには今は使わないかを決める必要があります。

例えば、以下のような配分では、個々の施策を実行していても計画に届きません。

配分の問題起こること
短期の獲得が必要なのに、予算と人手の大半を新規コンテンツ制作に使う成果が出るまでの期間を支える獲得施策が足りない
多くのチャネルに少しずつリソースを使うそれぞれの施策で、検証・改善に必要な量を確保できない
集客に予算を使っても、商談・提案の担当者を確保していない問い合わせを契約につなげられない

実際、プロダクト自体に可能性があり、顧客のニーズもあるのに、チャネルの選び方やリソース配分が合っていないために成果を出せていない例をよく見ています。

広告を改善する、記事を増やす、といった個別施策だけでは解決しない場合もあります。目標と期限に対して、施策の組み合わせや、それぞれに割く予算・人手を見直す必要があります。

配分を決める際には、費用に加えて、以下も確認します。

  • 誰が担当し、どれだけ時間を使えるか
  • 制作・運用・改善に必要な体制を確保できるか
  • 問い合わせ後の商談・契約対応まで回せるか
  • 優先する施策のために、何を減らす・見送るか

複数の施策を計画しても、担当者が同じなら使える時間は増えません。施策を追加する際には、その人が現在担っている仕事も含めて配分を考える必要があります

短期の獲得は既存接点や広告で支えながら、中長期に向けてコンテンツを整備する、といった組み合わせも考えられます。その比率は、必要な獲得量と、自社が持っている資産・体制によって変わります。

この配分を設計することが、マーケティング方針やチャネル選定、実行計画を策定する際の大きなポイントです。

どのチャネルで、いつまでに、どれだけ獲得するか。そのために、限られた予算と人手をどう使うか。ここを整え、実行につなげることが、マーケティング部門や集客を担う部署の仕事だと考えています。

メメントの支援について

メメントでは、必要な成果とスケジュール、現在お持ちの資産・接点を踏まえ、取り組む施策と優先順位をご提案します。

デジタル施策の設計・実行を強みとしていますが、目標達成に適していれば、紹介・提携・既存接点の活用を優先する方針もご提案します。

施策の選び方や、現在の計画で目標に届くかについてお悩みでしたら、ぜひ一度お問い合わせください。

著者プロフィール

森 行範
森 行範
メメント株式会社 代表取締役
1994年生まれ。埼玉県出身。東京大学文学部卒業後、ナイル、エムスリーキャリアを経て事業会社にて不動産ポータルサイトのマーケティングを担当。並行してメメント株式会社を創業し、マーケティング支援を行う。
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